尿路感染症ってよく聞くけど、よく分からないですよね。
尿路感染症とは、主に尿路末端から感染し、腎臓・尿管・膀胱・尿道のどこかしらに炎症が起きる症状のことです。
腎臓の炎症も、膀胱の炎症も含めてるって、あんがい守備範囲広いですね!
概要
尿路感染症(UTI:urinary tract infection)は、本来無菌である尿路系(腎臓・尿管・膀胱・尿道)が感染※1により炎症をおこした症状の総称で、腎盂腎炎(腎臓の感染症)も、膀胱炎も、尿道炎も、前立腺炎も、ぜんぶ尿路の感染症※2です。
ちなみに、尿路とは、尿がつくられて排出されるまでの経路(腎臓→尿管→膀胱→尿道)の事です。
しかし、一般的には尿路感染症は、腎盂腎炎と膀胱炎を指します。
※1:感染とは病原体が生体内に侵入・定着・増殖し、生体に 何らかの病的変化を与えること。
※2:感染症と は感染によって炎症を生じた状態であり、自覚的あるいは他覚 的症状を示していわゆる発病している状態。
分類
感染場所で分類するなら、上部尿路感染症・下部尿路感染症、基礎疾患の有無で分類するなら、単純性尿路感染症・複雑性尿路感染症で分類されます。
感染場所で分類
尿路感染症は、尿路の感染の場所に応じて、上部尿路感染症と下部尿路感染症に分類されます。
上部尿路感染症には、腎盂腎炎、下部尿路感染症には、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎があります。
基礎疾患の有無で分類
尿路基礎疾患の有無により、単純性と複雑性に分類されます。
単純性尿路感染症 | 尿路に基礎疾患を認めない(尿路の疾患は、尿路感染症オンリー) |
複雑性尿路感染症 | 尿路に基礎疾患がある(尿路感染症以外にも尿路の疾患あり)。抗菌薬が効かず、治療が長引くことも。 |
感染経路
- 尿路末端
- 血液
尿路末端
- メインの感染経路
- 尿路末端から原因菌が尿路を逆行性に感染
- 男性であれば陰茎の先端部から、女性では外陰部にある尿道の開口部から感染
これはイメージつきますね。
血液
- 稀な感染経路
- 血液から尿路系へ感染
- 敗血症、心臓弁の感染症などから感染
血液から感染って、どういうことなんでしょうね。
どうやって侵入しているんだ…。
敗血症はよく聞くから調べようかな。
原因菌
尿路感染症の中で、一番多いのが、細菌での感染、その次に真菌の感染が多いです。
他にも、ウイルスや、寄生虫などがありますが、真菌・ウイルス・寄生虫で感染する場合は、感染しやすい状態だったり、糖尿病、閉塞、器質的尿路異常があったり、尿路に器具を装着したことがある人に生じます。
細菌 | 約70%:大腸菌 Escherichia coli(E. coli)の感染。5~15%はその他の菌。 |
真菌 | カンジダ属に分類される真菌の感染が多い。免疫力が低下した人や、膀胱にカテーテルが留置されている人で発生しやすい。 |
ウイルス | 単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)が、尿道に感染することも。その他のウイルスの尿路感染は、免疫系が障害されないい限り起こらない。 |
寄生虫 | トリコモナス。吸虫などで感染をする事があります。 |
症状
急性尿路感染症
急性単純性腎盂腎炎 | 頻尿、尿意切迫感、排尿終末時痛、 |
急性膀胱炎 | 悪寒、発熱、腰背部叩打痛、嘔気、嘔吐 |
検査
臨床症状で尿路感染症を疑われた場合は、検尿を行います。
必要に応じて、腹部超音波検査、仰臥位腹部単純撮影、X線なども行う。
尿路感染症のまとめ
尿路感染症は、尿路の感染でおきる症状であり、一般的に腎盂腎炎・膀胱炎をさすことが多いです。
腎盂腎炎:腎臓に炎症が起きた状態
症状 | 頻尿,排尿痛,尿混濁,残尿感,膀胱部不快感な |
発熱 | なし |
尿検査 | 必須(膿尿・細菌尿) |
原因菌 | 約70% 大腸菌(E. coli ) 約 15~20% グラム陽性球菌 黄色ブドウ球菌属(Staphylococcus 属) 連鎖球菌属(Streptococcus 属) 腸球菌属(Enterococcus)属 |
抗菌薬投与期間 | 3日間 |
膀胱炎:膀胱に炎症が起きた状態
症状 | 悪寒、腰背部叩打痛、嘔気、嘔吐 |
発熱 | あり |
尿検査 | 必須(膿尿・細菌尿) |
原因菌 | 約70% 大腸菌(E. coli ) |
抗菌薬投与期間 | 14日間 |
こういうのがあるんだなーって思ってもらえたら。
参考資料
- 尿路感染症 Up-to-Date:尿路における自然免疫:金子 日本腎臓学会2016
- ウィキペディア
- JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症
- 尿路感染症
- MSDマニュアル家庭版